空軍や民間航空会社でパイロットとして活躍したカーナー・ロンバウアーは1972年、妻のジョアンと子供達、２頭の馬、５匹の犬とともにナパ・ヴァレーに移り住み、セントヘレナに40エーカーの土地を買いました。その後コン・クリーク・ワイナリーで働き、1980年に自らのワインを造りましたが、初ヴィンテージはシェーファーのワイナリーと自宅のガレージで造られたものでした。当時のワインメーカーはボブ・レヴィ。100点満点を何度も叩き出すカルトワインの頂点ハーラン・エステートの総括ディレクターです。妻のジョアンはワインビジネスのノウハウを身につけるためスタッグス・リープ・ワイン・セラーズのセールスチームで働き後にディレクターとして活躍しました。1984年に初ヴィンテージをリリースしました。

1982年から2008年までロンバウアーはカスタムクラッシュ・ビジネスを展開していました。カスタムクラッシュとは醸造設備を持たない小規模なワイナリーの為に設備を貸し出すサービスの事です。顧客はそうそうたる顔ぶれでドミナス、スポッツウッド、ダックホーン、メリーヴェル、コリソン、エチュードなど今やカリフォルニアを代表するワイナリーです。

1991年のカーネロス・シャルドネが1993年ワインスペクテイターTOP100ワインにて第68位に選出されます。そして、1993年のシャルドネが消費者の絶大な支持を得てまたもやTOP100ワインにてお次は順位を大幅に上げ第32位に選出され人気に火がつきます。これによりロンバウアーのシャルドネの地位を築きます。その後も2005年、2012年、2013年とTOP100ワインにランクインしています。2004年にはワイン＆スピリッツ誌によるレストランポール・アワードにて初めてTOP10シャルドネに選出されます。それ以来、毎年トップ10以内に14年連続ランクインし不動の地位を築いています。

シャルドネが注目されるロンバウアーですがシャルドネに並び注目されているのがカベルネソーヴィニヨンです。ワイン誌からの評価もシャルドネと同様に高得点を獲得し、各評価誌に対してのワイナリー最高得点の多くはカベルネソーヴィニヨン主体のワインとなっています。2003年にナパのアトラスピークにカベルネの葡萄畑を購入し、2005年にはセントヘレナの葡萄畑も購入し自社畑を広げています。

多くの造り手が市場トレンドに合わせ変化してゆく中、ロンバウアーは一貫した古き佳き豊かな風味が漂うオールド・アメリカン・スタイルのワインを造り続けている数少ない高品質な生産者です。現在は息子KRと娘シーナが父とともにワイン造りを指揮しています。
ワイナリーはナパのみならずソノマやシエラ・フットヒルズ等に自社畑を広げながらカリフォルニアを代表するワイナリーとして多くのワイナリーから尊敬を集めています。

1983年から造るナパとソノマを跨ぐカーネロス産メルローです。冷涼で粘土質土壌の土地から生まれる豊かな風味を持ちます。カリフォルニアの陽光と冷たい霧を感じさせ、ロンバウアーらしいリッチなテイストに仕上がっています。樽はしっかりと効いていますが酸味がありしなやかで引き締まったスタイルとなっています。